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歴史の歴史

ヨーロッパ 男性性の思想の源流

ヘレニズム哲学とユダヤ・キリスト教、そして女性蔑視)

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​現代文明はなぜこれほど大規模な環境破壊を引き起こしてしまったのでしょうか。それを探るにはヨーロッパの歴史に目を向ける必要があります。なぜなら現代文明の基盤である近代科学技術と近代経済は「西洋近代」と呼ばれる時代の意識から生まれたからです。

この意識は、現在日本をはじめ多くの国々に浸透しています。そうなった理由や過程は国ごとに違いますので個別に検討する必要がありますが、まず本家ヨーロッパにおける歴史を振り返ります。

ヨーロッパの思想は「ヘレニズム哲学」と「ユダヤ・キリスト教」を源流とすると言われます。これらは家父長制という男性優位の社会を基盤としていました。そしてその中から生まれたのが「ヒエラルキー的二元論」です。これは「精神・理性・知性」などを男性的特質(男性性)、「物質・感情・感覚」などを女性的特質(女性性)とし、そのうえで男性性を女性性より高等なものとするものでした。物質界である自然と女性はともに、理性をもつ男性より低く位置づけられたのです。

15世紀以降の「西洋近代」に入ると、理性にもとづく合理的な世界観が広がります。それまで神性をもつ有機体と考えられていた自然も、単なる物質で、パーツを寄せ集めた機械のようなものと考えられるようになりました。そして科学の目的は自然を征服し、人間の利益のために奉仕させることとなり、征服される自然は、男性の行う実験によって拷問にかけられる女として表現されました。18世紀以降、男性性に偏った意識を内包する近代科学と近代経済の発展によって、人間による自然の搾取が激しくなるのです。

それでは、ヨーロッパ文明において意識の男性化がどのように進み、それがどのように自然破壊へとつながってきたのか、以下の三区分に分けて詳しく見ていきましょう。

         

(紀元前2000年頃~4世紀頃)

1)古代ギリシア・ヘレニズム期

2)キリスト教全盛期

(4世紀頃~14世紀頃)

3)近代から現在(15世紀以降)

1)古代ギリシアとヘレニズム期 (紀元前2000年頃~4世紀頃)

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男性性への最初の転換は古代ギリシアで起こります。それまで栄えていた豊穣と共生の女性性の文明が、力と支配の男性性の文明に征服されたのです。社会は家父長制となり、物質(界)と女性を劣等と考える哲学が生まれます。

2)キリスト教全盛期 

(4世紀頃~14世紀頃)

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第二の男性性化はキリスト教神学を通して行われます。教義を体系化する中で古代ギリシアの物質蔑視の哲学が取り入れられ、自然、肉体、女性を下に見る男性優位で階層的な世界観がつくり上げられます。

3)近代から現在 (15世紀以降)

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いよいよ男性性が全開となる時代。ヨーロッパにおける数々の革命的業績は男性性を原動力にして行われました。しかし自然を生命のない機械的なものとみなし、人間の意のままに制御・利用できると考える科学技術と経済は、「生命の再生産」という女性性を破壊していくのです。

​主な参考文献 → 

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