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第1章)征服される女性性文明

古代ギリシアとヘレニズム期

(紀元前2000年頃~4世紀頃)

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【ざっくり背景説明】

舞台はエーゲ海を中心とする地中海地域。ここで紀元前2000年頃から前800年頃にかけて、男性性の文明に向けた最初の転換が起こります。大地の女神を崇拝する先住民の女性性文明が、天空の男神を奉じる好戦的な原ギリシア人たちによって征服されたのです。原ギリシア人たちは各地にポリス(都市国家)をつくり、互いに激しい勢力争いをしながらも繁栄を築きます。

紀元前4世紀頃になるとポリスに代わって、ギリシア北方のマケドニア王国のアレクサンダー大王がインドに達するほどの超大国を築きます。この東征によってギリシア文化は東方へと拡散し、その結果、ギリシア文化と各地のオリエント文化が融合したヘレニズム(「ギリシア風」という意味)文化が生まれます。

 

ギリシアで生まれ、この時期に変容した哲学は、この後キリスト教の神学に取り入れられ、またルネサンス期に復興されるなどして、ヨーロッパの歴史に大きな影響を与えていくことになります。

それではこの時期に意識の男性化がどのように起きてきたのか、テーマごとに見ていきましょう。

1-1)大地の女神信仰から

母権制から父権制への転換

天空の男神信仰へ

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女性性文明が征服され、ポリスという軍事共同体が互いに争う男性性の文明となった古代ギリシアでは、社会が完全に家父長制に切り替わり、女性の地位も著しく低下します。

またギリシア神話に見られるように多神教崇拝は存続しますが、神界の頂点に立ったのは女神(地母神)ではなく男神ゼウスでした。

1-2) 哲学の誕生 ー 

理性偏重・物質蔑視の哲学の始まり

紀元前6世紀になると、ギリシアでは「神話」を否定し、人間の理性(ロゴス)によって自然界や人間社会を解明しようとする哲学が生まれます。これらの哲学はヘレニズム期にも引き継がれ、オリエント世界の思想と融合していきます。

哲学は完璧な霊的世界を想定し、物質的な現実世界を低く見る傾向がありました。それはまた、「理性的」とされた男性が、女性は「物質的、感情的」として下に見る思想でもありました。またこの時代には、理性によって欲望や感情を抑制することで心の平安を手に入れようとする禁欲的な哲学も盛んになります。

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