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歴史の窓 まとめ

ヨーロッパ 男性性の思想の源流

~前2千年頃

地中海沿岸の各地で、大地母神を崇拝するアニミズム的な女性性の文明が栄える。

古代ローマ・ヘレニズム期

前2千年頃~AD4世紀頃

遊牧民族である原ギリシア人が侵入し、女性性の文明を次々に破壊、征服して定住。神話上の最高神は天空の男神となり、大地の女神は格下げされる。

前8世紀頃、原ギリシア人たちによるポリス(軍事都市国家)が多数成立。互いに争いながらも黄金時代を迎える。

軍事共同体であるポリスでは男性的な強さが尊重され、社会も家父長制となる。女性の地位は著しく低下。

​古代ギリシアはその後のヨーロッパに引き継がれるヘレニズム哲学を生み出す。

​その特徴>>

理性・精神を重視し、物質・肉体(特に女体)を蔑視する二元論が形成される

この哲学は、その後キリスト教神学に取り込まれる。

<ポイント>

 

家父長制社会の成立。

理性偏重、物質・肉体・女性蔑視の哲学の誕生

自然と神の分離

​「人間中心主義」の誕生

理性と精神の働きを邪魔するとして、肉体的欲求を抑えようとする禁欲主義が登場。

神話ではなく人間の理性(観察や論理)によって合理的に自然と社会を理解しようとする。

物質の根源物質を探究した自然哲学の姿勢は、15世紀以降に復活。

二元論は物質界をイデア界(神の世界)の影に過ぎないとし、自然を神と切り離す。

理性をもつ人間は他の動植物より高等。人間の理性的判断によっていかようにも利用できるという「人間中心主義」が生まれる。

「女性は男性より劣る」ことを当然視する。

また「男性は理性的、女性は物質的で感情的」と定義。

以来西洋哲学は男性の経験を基に構築され、女性の経験は疎外される。

また「男性的」とされる理性・知性を追究し、「女性的」とされる感情・共感は対象とせず。

キリスト教全盛期

4世紀~14世紀頃

​4世紀、キリスト教がローマ帝国の国教となる。

軍事大国ローマ帝国の拡大を助ける立場となったキリスト教は男性化。

帝国の拡大とともにキリスト教も拡大。

11世紀にはヨーロッパ全土に荘園をもつ巨大修道院ネットワークが完成。ローマ教会は世俗の統治権を王・諸侯と争う。

​キリスト教神学の体系化の中で、「一神教」「父権的」「自然崇拝の嫌悪」のユダヤ教と、「理性・精神・男が上」「感情・自然・肉体・女が下」のヘレニズム哲学が融合。

 

神の二つの神性のうち「女性的神性」を埋没させ「男性的神性」を強調する男性性の強い神学ができあがる 。

「男性的神性」→ 超越性、普遍性、絶対性 etc

「女性的神性」→ 自然に内在する自律性や生命活動、慈愛 etc

​その主な特徴 >>

神の恩寵が、頂点の父神から最下層の自然界まで段階的に流れ出るという階層(ヒエラルキー)的世界観。下に行くほど不完全で生死を免れない劣った存在になる。

これに従い、教会組織も社会も同様の階層をもつ封建制に。

​聖職者はより霊的な存在で「神の国」に近いとされ、特権化。

自然は女性的。自然に内在する自律性や生命活動は女神によって与えられる「女性的神性」。ヒエラルキーの一番下にあるが、神とつながっている有機的な「生命体」。

「原罪」をもたらした女性は罪深く、神によって男性の下に位置づけられた存在。当然、聖職者にはなれず、修道女として男性聖職者の下で神に仕えるのみ。

「罪深い女性」と「女性的な自然」は、ともに父神と男性の下に位置づけられる。

<ポイント>

父権的で男性性の強いキリスト教神学が庶民まで浸透

​(主な特徴)

男性神を頂点とした一神教

男性神から「女性的自然界」へと下りていく階層(ヒエラルキー)的世界観

自然と女性は 父神と男性より下

 

自然は「神性」をもち有機的秩序をもつ「生命体」という理解

ローマ教会は肉体の再生産(生命の再生産)を嫌い、特に女性・女体を蔑視

神の「男性的神性」を強調

「女性的神性」は埋没

「男性的神性」→ 

超越性、普遍性、絶対性etc

「女性的神性」→ 

自然に内在する自律性や生命活動、慈愛etc

​肉体(生命)の再生産を嫌い、「原罪」をセックスに転化。聖職者に禁欲を強要。11世紀以降のローマ教会は聖職者の結婚も禁止。

超越性・普遍性などの「男性的神性」が強調され、「女性的神性」は軽視あるいは教義から排除される。

​(例)

「三位一体論(父・子・精霊は一体とする教義)」は元は「父・子・母」。しかし母(女性的神性)を排除し、性別のない「精霊」とすることで「男性的神性」を強調。

​自然に内在する「女性的神性」を顧みない。

民衆の求める慈悲・許しなどの「女性的神性」はマリア崇拝によって補う(父神は厳しく絶対的)。

近代以降

15世紀~現代

​ヘレニズム哲学が再評価され、神や聖書ではなく、観察や論理など人間の「理性」によって宇宙を理解しようとする、近代の「脱魔術」の時代に。

男性性である「理性」にもとづく人間性の解放運動は「機械論的世界観」に着地。

「科学革命」は「機械論的自然観」を生み出す。

 自然の見方は、神性と有機的秩序と自律性をもつ「生命体」から、無秩序で受け身の「生命のない」機械に。

「啓蒙思想」は「自由・平等・個人の尊重」を掲げ、民主的社会への移行を実現

資本主義経済が発達し、近代の男性性をすべて取り込んだハイパー男性性の理論が出来上がる。

 西洋近代の男性性の意識

<ポイント>

 

「機械論的世界観」によって、自然や経済から「生命の視点」が失われる

精神(霊性)を対象から切り離し、物質のみを探究する科学技術が大きな成功をおさめる。これによって神・霊性が存在しない唯物的世界観が広がる

科学革命

啓蒙思想

資本主義経済

産業革命

に代表される西洋の近代化が、強い男性性の意識によって押し進められる

(細分化、支配、合理性、直線的、個の自立、上昇、拡大、競争、効率、など)

  < >内

産業の中心が農業から、生態系との関わりをもたない都市部の商工業に移動。 富も「土地・人」から「金銀・貨幣」に。

  • 自然や社会を機械的なものと見る「機械論哲学」 <女性的神性の抹殺>

  • 自然を「支配し、人間に奉仕させる」という科学の目的 <支配、自然からの自立>

  • 宇宙には絶対的で普遍の法則があるという信念 <普遍性>

  • 要素還元主義という科学の手法 <細分化>

  • 計量できる法則しか科学と認めない態度 <数量的な分析、合理性>

  • 機械技術の発達が文明の進化という考え(進歩主義)。文明は 農業→工業化・商業化→(IT化)という過程を通って進歩し、逆はないとする。 <直線的思考>

  • 都市部に住むブルジョワ層が「自由・平等・個人の尊重」を掲げた市民革命 <個の自立>

  • 生命のない工業的な世界を一般化した資本主義経済理論 <自然からの超越>

「機械論的自然観」の科学が自然の数量的記述を進めて大きな成功をおさめ、自然を操作する技術が発達。(「機械論的自然観」は、20世紀に登場した相対性理論と量子力学によって否定されたが、いまだに人々の心を支配)

共に男性性と「機械論的自然観」に基づく科学技術と経済が手を組むことで、共存共栄や生命の視点が欠如した弱肉強食の経済社会が拡大し、生態系の危機を招いている。

20世紀~

​女性性への揺り戻しが始まっている。機械論的自然観をくつがえす、あるいはくつがえす可能性のある科学的発見、新しい経済、ジェンダー平等あるいはLGBTの権利など、多様で全体性をめざす動きが出てきている。

​行き過ぎによる反動が生まれ始めている

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