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<女性性・男性性 と 性差>

男性がつくった男性性の経済社会

現代文明がこのように「男性性」に偏っていることと、現代社会が男性優位であることは無縁ではないでしょう。地域によって差はありますが、少なくとも過去3千年ほど人類は家父長制という男性優位の社会にありました。特に18世紀の産業革命以降、女性が経済や社会の中心から徹底的に排除されてきたことが多くの女性研究者によって明らかにされています。

 

このように女性の力が社会や経済に反映されなくなったことが、現代文明をここまで「男性性」に偏らせてしまった原因の一つだと考えられます。

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科学が明らかにした性差

近年の脳科学や神経科学などの研究は、男女の考え方や価値観に違いがあることを明らかにしてきました

この違いを生み出すのはホルモンや脳の働きの違いなどです。なかでも興味深いのは、女性には古来「女性的あるいは女性性」と呼ばれてきた特性が、男性には「男性的あるいは男性性」とされる特性がより強く現れるということです。

「男性=男性性」「女性=女性性」ではありません

ただし、

科学的研究は、性差はあくまで傾向であって絶対的なものではないことも明らかにしているのです。つまり

 

 

このことはユングの臨床心理研究によっても裏付けられています。女性的特性と男性的特性のそれぞれがどのくらい発現するのかは、性別のほかにも、個人によって、あるいは経験などによって異なるのです。

 

今後この分野のさらなる研究によって、人間の心と身体の間の不思議で複雑な関連性がもっと明らかになってくるでしょう。

人間には、誰にでも女性的特性と男性的特性が存在するのです

性差はあるけれど、あくまで傾向

この科学的知見は、今後経済に「女性性を回復」し「男性性と統合」していく上で二つのことを示唆しています。

  • 「女性性」の回復には、女性が大きな役割を果たす可能性がある

  • 男性も「女性性」の価値観を推進することができる

「女性性」を回復し、統合の経済をつくるのは女性だけの仕事ではありません。まさに男女の協働が必要と言えるでしょう。

「男性が外で経済を担い、女性が家を守るのも男女の協働だ」という人もいるかもしれません。事実、そうした性別役割分業が長い間行われてきました。けれどもそれでは「女性性」が経済に反映されないのは歴史が証明するとおりです。また単に女性が労働者として今の経済に参加するだけでは「男性性の経済」が補強されるだけで「女性性」の回復には不十分です。

 

「女性性」の必要性を認識したうえで、男女がともに「女性性の回復」と「男性性との統合」を成し遂げることが必要なのです。

そのためにも「男は(女は)こうでなくてはならない」という社会的につくられた「しばり」や「らしさ」を取り除き、自分らしく自分の判断で動けるようになることが大切でしょう。それは社会と経済を、よりのびやかで調和のとれたものにすると思われるのです。

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