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<女性性と男性性 ー 

      陰陽の考え方>

問題はどちらかへの偏り

「女性性」と「男性性」は人類が宇宙の森羅万象を理解する上で便宜的に分けたものです。古代中国では陰陽として、この二つの相反するエネルギーがダイナミックに関係し合い、常に変転しながら物や事象を形づくっていると考えました。つまりすべのものが「女性性」と「男性性」で成り立っており、どちらかしかないというのはあり得ないのです。もちろん、「男性性」しかもたない男性、「女性性」しかもたない女性も存在しません。

両方が同じように重要で必要なのですから、当然、どちらかが悪いとか正しいということはありません。ただ「男性性」にも「女性性」にもプラスの面と同様にマイナスの面があります。自己の確立や自己主張(男性性)は行き過ぎれば支配や暴力になりますし、他者との関係性(女性性)を優先しすぎると、個人の意思や尊厳が否定されかねません。

ですから問題はどちらかに偏ることなのです。

現代文明は「男性性」に偏るあまり「女性性」が抑圧され、「男性性」のマイナス面が最大化している状態にあると考えられます。陰陽思想に代表される東洋思想では、どちらか一方の価値観やエネルギーへの極端な偏りは大きなきしみを生むと考え、両者の調和・中庸を繁栄の要と考えていました。

 

そうであれば、現在の「男性性」に偏った世界に必要なのは「女性性」の回復と、「女性性と男性性の統合・調和」だと言えるのです。

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女性性への揺り戻し

陰陽思想では、極端に陰あるいは陽に振れると反対への揺り戻しが起きると考えます。実際に20世紀に入ってからは、「女性性」への揺り戻しと言える動きが現れています。

 

たとえば科学は細分化への反省から、システム理論のような、よりホリスティック(全体性・包括性)な研究が進められています。

 

医学でも身体と精神を切り離して当該器官だけを診る従来の西洋医学ではなく、身体は心や精神と連動するもの、さらには衣食住を含めた周囲の環境と連動していると考える東洋医学的な見方が見直され、両者を統合した医療も進められています。

 

また、行き過ぎた個人主義や物質主義に疲れ、人とのつながりへの回帰やマインドフルネスのような内的な探求への動きも盛んです。

 

1960年代から始まったフェミニズム運動や近年の「Me too」運動に見られるような、女性の権利と尊厳の尊重を求める世界的な動きも、「女性性」への揺り戻しの一環と考えることができます。

​「男性性」だけでは解決しない

ただしこうした動きも、現時点ではまだ従来の「男性性」が支配的な意識を変えるほどにはなっていません。現在最先端科学とされる遺伝子やゲノム編集技術は、人間が自然や生命を操作しようとする機械論的自然観・生命観そのものです。その操作によって周囲の自然や生命現象にどのような影響が出るのかについての研究は後回しです。

 

同様に変革が遅れているのが経済です。経済の分野ではいまだに弱肉強食で利己的なマインドが支配的です。この「男性性の経済」は、生命の基盤である自然を破壊し、さらに、世界の最も裕福な1%の人たちが、その他の69億人の富の合計の2倍以上の富をもつ(Oxfam 年次報告書2020年)という格差と支配の経済社会をつくり出しました。

 

そしてこれらの問題の改善のために進められてきたのは、さらなる「技術革新」と「経済成長」でした。どちらも技術に頼り、合理性や拡大を求める「男性性」の対応策です。問題が解決してこなかったのも無理はありません。

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