砂漠のトイレ
更新日:2023年2月9日
誰でも毎日必ずお世話になるトイレ。そんなトイレにはその国ならではの事情や文化がよ~く現れているようです。これを語り始めたら止まらないのですが、今回からいくつか、私が見聞きした印象深いトイレについてお話ししたいと思います。
まずは地球儀をグルっと回して、アフリカの北東に位置するスーダンへご案内・・・。
砂漠のトイレ
サハラ砂漠の中にある小さなプロジェクトを見に行くために、ラクダに乗って9時間ほど旅した時のこと。初めてのラクダ旅に、私はGパンに半袖シャツと麦わら帽子といういで立ちで出発(日焼け止めすら塗らず、服装も砂漠の長旅向きではありません。決してマネしないでください😅)
途中心配だったのはトイレでしたが、まぁなんとかなるだろうと思っていました。
緩やかな起伏のある黄色い大地を進んでいると、もちろんトイレに行きたくなります。けれども地平線まで見渡す限り砂また砂。え、どうするの?! 砂漠にもたまぁに枯れ草のように見える小さな茂みがあります。 仕方ない、そこしかない・・・と、仲間には前に行って待っていてもらい、そしてハタと気がついた。あ、Gパンを下ろさなくちゃいけない!
いくら誰もいないといっても、茂みのあるのは前だけ。横にも後ろにも遮るものがない砂漠でお尻を出すのは勇気がいります。
というのも、その前に別なびっくり体験があったからなのです。
砂漠で遭難?!
これも国連の仲間たちと四輪駆動車でサハラ砂漠を走っていた時のこと。砂漠の道はあってないようなもの。砂にかき消されても不思議はないので、たいていは経験豊富なドライバーが固い下地のある場所を選んで走っていきます。それなのに・・・「はまってしまった」のです、やわらかい砂地に。タイヤは空転して砂を掘り、溝は深くなっていくばかり。なにしろやはり周りは360度見渡す限りの砂漠。同じ「道」を車が通る可能性は絶望的に低い。ありったけのシャツを敷いて脱出を試みるものの成果はなく、焦り始める私たち。
そして小一時間は過ぎたでしょうか。炎天下の中で疲れ果てた私たちの前に、どこからともなく両脇に枯れ草の束を抱えたガラビア(スーダンの民族衣装)を着た若い男が現れたのです。彼は慣れた調子でタイヤの元に枯れ草を敷き、そのおかげで私たちは無事に砂地獄を脱出したのです。そして「助かった!ありがとう!」と泣かんばかりの私たちに満面の笑みで応えながら、彼はまたどこへともなく去っていきました。
不思議なのは、彼がいったいどこで私たちのピンチに気づいて助けに来てくれたのか、ということ。なにしろ見渡す限り砂しか見えない砂漠のまん真ん中。私たちは助けがいないかと目を凝らして見ていたのに人の姿などまったくなかったのです。きっと砂漠で生きている人たちは、とんでもなく視力が良いに違いないと皆で話したものです。
というわけで、砂漠の民の視力の良さを知っていた私。誰もいないからとGパンを下ろす勇気がなかなか出なかったというわけです。気がつけば同行したイギリス人女性はズボンではなく長いスカートをはいていました。慣れているんだ・・・。
砂漠の旅をしようと考えている女性の皆さん、砂漠に「トイレ」はありません。身を隠すところもほとんどありません。おまけに目のいい砂漠の民がいます(笑)。必ずスカートか、腰に巻ける大きな布を持っていきましょう!
ちなみに砂漠で暮らす民の家にもトイレはないようです。写真のような集落でトイレを借りようとしたら、困ったように塀の外を指さされました。そのまま「自然に返す」のがあたり前なのね・・・💦。 その時はその家の女性に布を貸してもらって事なきを得たのですが ・・・ 突然の訪問者に興味津々で、どこまでもついて来る子どもたちに難儀したことも付け加えておきます(笑)
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