環境と経済の対立
更新日:2021年9月12日

少し前の話になって恐縮ですが、2020年1月のダボス会議で、「気候変動の取り組みは全く不十分で失敗している」と述べた17歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんに、トランプ大統領率いるアメリカ政府代表が嫌味を言ったそうです。「大学で経済学を勉強してから(ダボス会議に)戻ってきてほしい」と。
これに対してトゥーンベリさんはツイッターで、「(気候問題は)経済学の学位がなくてもわかる話」と反論しました。
またこれに先立ちトランプ大統領は、「(環境対策のために)アメリカの経済を破壊することは許さない」と主張しています。
ああ、まただ・・・。どうして環境と経済は対立しなくてはいけないのだろう・・・💦
今の経済は自然環境と対立する

ダボス会議でのこのエピソードは、はからずも
「自然環境を守ろうとすると今の経済は立ち行かない」という現状を示しました
そう、多くの政治家や経済人がわかっているように、現在主流の経済は自然環境と両立しないのです。
タールの砂や地層深くの岩盤にしみ込んだ石油を掘り出すことがどれだけ環境を破壊しても、安いエネルギーで経済の競争力を上げることの方が重要という論理。
もしかしたら彼らは「カネさえあればきれいな水も空気も買える。だからカネを稼がなくては」と思っているのかもしれません。

でも考えてみてください。おカネを山のように積み上げたとしても、きれいな水や空気が消え、ジリジリと焼けるような酷暑の中で生きていけるでしょうか?
美しく健全な自然環境は生命の基盤。自然環境が破壊されれば、たちまち地球上のすべての生命が危険にさらされるのです。もちろん人間も!
おカネ(経済)と自然環境は次元が違う話なのです
人間は自然の中で生かされているのですから、生命が脅かされるような状況では、そもそも経済活動など成り立ちません。そんなこと、言われなくてもわかることですよね。
「おカネのために環境を破壊しても仕方がない。おカネを稼がなければ国民は生きていけない」というのはまったくもって倒錯した論理。優先順位が逆なのです。
経済は変えられる
「歴史の窓」でもお話ししたように、経済が技術と結びついてカネもうけを意味するようになったのは、ここ200年ほどのことです。
もし今の経済が自然を破壊せずにはいられないのならば、私たちはその経済を変えるべきでしょう
それにはまず、「今の経済はベストなもの」「これしかない」という考えは単なる思い込み、マインドコントロールだということに気がつかなくてはなりません。
経済システムは変えられるはずです、だって私たちがつくったのですから。

環境と経済が両立する時代が始まった?
アメリカがバイデン大統領に代わり、日本も菅首相に代わって、環境対策に後ろ向きな「トランプ・安倍時代」からの転換が始まっているように見えます。日本のマスコミも「経済と環境は両立する。環境技術の開発を急げ」と書くようになりました。
つまり高度な環境技術を開発して新しい製品を作り、それを国内外で売って古い設備と置き換えれば、環境破壊を止められる上、経済も潤う(おカネになる)ということです。
ただこの方法は今に始まったことではありません。特に気候変動が世界で深刻に受け止められるようになった2000年代からは、アメリカのオバマ政権や EU 諸国を筆頭に、省エネ・再エネ技術の開発などによって経済を「グリーン化」し、同時に経済を成長させるという政策が推進されてきました。日本の自動車メーカーも省エネ技術の開発競争にしのぎを削ってきたのです。でも・・・地球環境の悪化は続いています。このやり方で本当によいのでしょうか。
少しでも環境に良いものを作ってたくさん売る。環境と経済を両立させるベストの方法! そう思われるかもしれません。もちろん環境に負荷をかけない技術は絶対に必要です。ただコトはそう単純ではないのです。実はその裏に大きな問題があるからです。そしてそれこそが、今まで環境問題解決のために行われてきた様々な努力を無にしている原因なのです。
そしてその問題を見ない、あるいは見せないようにしているのが「男性性」にとらわれた意識です。
次回はその大きな問題と「男性性」の意識についてお話ししようと思います。
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