石油に頼らない生活 - トランジションタウン運動
更新日:2022年6月14日
今日本では食品と生活必需品の値上げが続いています。マヨネーズ、しょうゆ、小麦粉etc・・・軒並みの値上げに悲鳴が上がっています。この物価上昇の原因にはいろいろありますが、その最大のものは石油の値上がりです。でも石油が高くなると、なぜあれもこれも値上がりしてしまうのでしょう? 下の図を見てください。
これを見ると、私たちの生活は石油の上に成り立っているのがわかります。なかでも日本は食糧の6割以上を輸入していますから、材料を日本に運ぶ燃料の値上がりだけでも深刻なのです。
石油の値上がりは当分続くと考えられていますので、もしそうなったら、いずれ衣類やプラスチックなど他のものの値段も上がるでしょう😲 もちろんガソリン代や電気代はすでに上がっています。
そんなに値上がりしたら暮らしていけないって? ほんとに・・・おっしゃるとおりです。
脱炭素の動き
世界では今、地球温暖化を止めるために石油や石炭などの化石燃料を減らす方向に進んでいます。このために化石燃料の産業にはおカネがまわりにくくなっており、十分な生産ができないというのも石油の値上がりの原因のひとつです。
石油の生産と活用が減ればCO2は減りますが、私たちの生活がエネルギー大量消費型のままでは、今のように石油の供給が需要に追い付かなくなり、生活を直撃してしまいます。
ですから早く石油へ依存したライフスタイルから転換しなくてはなりません
ところが、政治も経済も、そして私たち自身もライフスタイルを変えようという意識はほとんどありません。その代わりに、CO2排出量が少ない天然ガスや、原子力、太陽光パネルなどへ切り替えるだけの表面的な「脱炭素」が叫ばれています(→ コロナ後に何を変える?)
石油への依存をやめるということは他のエネルギー源に替えることではない、と私は思います。どんな資源でもいずれは枯渇します。太陽光パネルを作るのにも大量の資源を使うのです。ですから本当に必要なのは、エネルギー消費を小さくできるようなライフスタイルに変えることだと思うのです。
でもそうしたら不便で我慢ばかりの生活になるんじゃない?と思うかもしれません。でも以下に紹介するトランジション・タウン運動を見ると、そんな生活も悪くない、いやむしろ今より楽しいかも・・・と思えるのです。
トランジション・タウン運動
この運動は、石油に頼らなくても幸せに暮らせる生き方・経済をつくろうと、2005年にイギリスの青年が始めた運動です。この運動はその後16年の間に日本を含む世界の1000か所以上に広まり、「石油に頼らない生活」がどんなものかを見せてくれています。
この運動のめざすところを、トランジション・タウン・ジャパンのHPからご紹介しましょう。
トランジション(Transition)とは「移行」を意味します。
エネルギーを多量に消費する脆弱な社会から、適正な量のエネルギーを使いながら、地域の人々が協力しあう 柔軟にして強靱な社会、持続可能な社会への移行です。
エネルギーを大量に使う社会は一見、便利で快適ですが、ひとたびエネルギーの供給が止まれば、人々は生きていくことすら困難になることが予想されます。スーパーに並ぶ食料も満ちあふれる製品も、エネルギーが途絶えると、とたんに消えてしまい、なにひとつ機能しなくなる脆弱な社会なのです。
適正なものを適正な量だけ作り、大事に使い、食べ、使い終わったものは無駄なくリサイクルする。そうした社会に向かうために
地域の仲間といっしょに、
地元の資源を使ってエネルギーを作り出すこと
地域の人々が集まって菜園や田んぼを作ること
勉強会や上映会を開いて、私たちの住む社会の問題意識を共有すること
昔から伝わっていて、途切れてしまった技術を蘇らせること
お年寄りから昔の知恵を学ぶこと
いまとは違う暮らし方を見つけ出すこと
それがトランジション・タウンの活動です
トランジション・タウンの活動は、市民が自らの創造力を発揮しながら、地域の底力を高めるための、実践的な提案活動です
トランジション・タウンが描くのは、地域を中心とした社会と経済です。地域の仲間たちが力を出し合い、共に問題を解決し、地域の自然に合った食物やエネルギーを自分たちの手で作る。このような地域社会は何があっても簡単には折れず、しなやかに立ち直ることができます。そして他の地域ともゆるやかに連携していくのです。
サイトを読んでくださっている方はおわかりのように、このような社会経済の形は、このサイトが提唱する「生命を中心に置く(社会)経済」にそっくりです。それは
「自然との一体化」「協力・助け合い」「水平的なネットワーク」という女性性と、
「(いい意味での)自己主張・自己の発揮」「自立」という男性性
を統合させている自律的な地域でもあるのです。
こうした自然に根差した自律的な地域をつくる動きは他にも出てきています。中には自治体が中心になって進めているところもありますので、また追々にご紹介したいと思います。
またもう少し詳しくトランジション・タウン運動について知りたい方は、以下のトランジション藤野のサイトが参考になると思います
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